<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第82章 春の夜に詠う ― 姫&秀吉 ―
春の夜に見る夢は貴方を想う夢。
一人寝につい想う、貴方が愛してくれる姿。
駄目だね、一人だと不安になってしまう。
いつでも貴方と一緒に居たいと思うから。
「秀吉さん、早く帰って来て」
揉め事を起こした二つの国の調停だからすぐ終わるよ、と秀吉さんが出掛けて数日。
しっかりしてなくちゃと思うけれど、反面、何かあったらと心配で不安なんだよ。
戦国の世なんだからこれが当たり前だけれど、やっぱりそう簡単には慣れないね。
無事終了、と早馬が来て、秀吉さん始め家臣のかたたちもケガもしていないと聞いて安心したよ。
私は、秀吉さんが戻ったらゆっくりしてもらえるよう、夜着を繕い、布団を陽に当て準備をしておく。
一人寝もあと少し。
桜が散り始めた春の夜の夢は、貴方と過ごす夢。
「舞!」
「秀吉さん、おかえりなさい!」
帰城と聞いて迎えに行くと、大勢の人が迎えに出ていて城前はごったがえしていたけれど、私の愛する人は当然だけど、すぐ見つかった。