<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第81章 身体が基本 ― 政宗&姫 ―
誰よりも、おまえをわかっているのは俺だと思っている。
「ほれ、舞、おまえの為に作ってきてやったぞ」
「うゎあ、政宗、ありがとう!」
どんな時でも俺の料理を食わせりゃ、舞が笑顔になるのを知っているからな。
「食べさせてやるよ、口、開けな」
俺は風呂敷包みを解き、重箱を開け、大根の煮たものを一口大に箸で割って、舞の口元へ運んだ。
「え、だって、自分で…」
大根を口元に運ばれた舞は赤くなって、へどもどしている。
「今更恥ずかしがるような仲じゃないだろう?ほら」
俺の再度の催促に、仕方なく口を開ける舞。
俺が運んだ大根を口にし、咀嚼すると、途端に目を見開いて驚きの表情をした。
「うわぁ、政宗、この大根すごく美味しく炊けてるね!どうしてこんなに柔らかいのにしっかり味が染みてるの?」
へぇ、俺が時々料理を教えてやる甲斐もあって、良い質問をするようになってきたな。
俺は隠し包丁を入れ、米の研ぎ汁で大根を下茹でしてから、出汁でゆっくりと煮込んでいく方法を簡単に説明してやる。
本格的に知りたきゃ、俺の御殿に料理の修行をしに来い、という事だ。