<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第7章 だいすき ― 姫&家康 ―
貴方の腕を引っ張るけれど、反対に貴方の腕に絡めとられる。
「?」
雨が止んだのに、どうして行かないの?
貴方の翡翠色の瞳が私をじっと見つめる。
そして今度は貴方からの、優しく甘い口付け。
「俺もあんたが、だいすき」
私も途端に赤くなった、かも。
「ず、ずるい…」
「何が?」
私は赤くなって後ずさりするけれど、貴方が私の腕を掴んで離さない。
翡翠の瞳が、いつまでも、私を映す。
「…だいすき、だよ」
私から、もう一度、口付け。
すると貴方から口付けされ、そして二人の甘い時が始まる。
私の小さな吐息が漏れ、貴方が私の全てを自分のものにしようと、私のその息すら口付けで塞ぎ、己のものにしようとするのが嬉しくてならない。
もっと私を、貴方のものにして欲しい。
貴方の動きが私を悦楽へ連れていく。
二人の甘やかな動きを知るのは、雨上がりに揺れる草花、だけ。
<終>