<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第75章 旅立つ ― 姫&安土城武将 ―
弥生月のほのぼのした暖かな陽ざしが差し込む中、私は安土から旅立つ。
信長様達の待つ広間へ足を踏み入れる。
「皆さん、お世話になりました」
しとやかに三つ指をつき、挨拶をする。
私のすぐ近くに控えるのは、謙信様の代わりに私を迎えにきた佐助くん。
「息災でな、舞。謙信が嫌になったらすぐ戻ってくるんだぞ」
秀吉さんの言葉に、胸がほんのり暖かくなる。
「舞、こっそり春日山城内の地図を作って、俺達に送っていいんだぞ」
こんな事を言うのは光秀さん、冗談でもこういう事を言うのが好きなんだから。
「めし、まずかったらいつでも俺のところに来いよ?」
ありがとう、政宗。
「まぁ、元気にやりなよ」
家康も、らしい挨拶だね。
「…どうぞお元気で、舞様」
三成くん、元気ないね、どうしたのかな。
「私は…っ、舞様に安土を去っていただきたくないのです…っ」
三成くん、ごめんね、私は謙信様の許に行くって決めたんだ。