<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第73章 きみを教えて ― 義元&姫 ―
「すっ、すみません、緊張、するんです。義元さん、なんか雰囲気が特殊で」
「特殊ってどんなの?」
俺は店主にお茶とお団子を頼み、舞の隣に座り、舞の顔を覗き込んだ。
舞の顔は間近で見ると、何故か赤く染まっていた。
「義元さんの雰囲気が、その…なんというか…綺麗な空気感というか、人を誰でも受け入れそうで、実は人を受け入れず寄せ付けない…独特な雰囲気を感じます」
ふーん、なかなかよく、感覚として俺を捉えているね。
「ねぇ、舞、きみの事、もっと教えてくれる?」
「…は?」
俺の言葉に目を見開いて驚く舞。
「どうして、私の事なんて知りたいのですか?義元さん」
「きみが不思議だから。言葉でも良いし、勿論、それ以外の事でも良いよ」
「それ以外って…」
へどもどする舞に俺は面白くなって、更に距離を近くして囁くように言う。
「ね、舞、きみの事、もっと教えて。ここじゃなくて二人きりになろう」
「そ、それって…」
「駄目かな?俺、あまり他人には興味がないけれど、舞をもっと知りたい。
信玄や幸村を虜にし、安土のおとこ達も惹き付けるきみの魅力を、俺にも教えて」
俺が、皆が舞に惹かれる理由を、言葉じゃない方法で知る事が出来たかどうかは…さぁ、どうだったと思う?
<終>