<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第73章 きみを教えて ― 義元&姫 ―
へぇ、あの子が信玄の言う天女、なのか。
あの子、確か以前、花瓶を探している時に出会った子だよね。
俺は目の前の茶屋で、豊臣秀吉と茶を飲んで笑っている娘を陰から見つめた。
確かに綺麗な子だけど、何故天女なのか、そんな雰囲気はないけれどな。
「じゃ、気を付けて行ってこいよ」
「うん、わかったよ、秀吉さん、いってらっしゃい」
おやおや、豊臣秀吉は用があるらしく、舞を一人残して行ってしまった。
そうなると、俺が声を掛けても問題ないって事だな。
俺はあまり他人には興味はないんだけど、信玄は天女だと言うし、幸村はイノシシ女だと言うし、不思議な魅力を持っていそうな舞の事を知りたいと思うのは、いけない事ではないだろう?
「やぁ、また、会ったね」
「貴方は…義元さん」
「隣、良い?何を食べてたの?」
「…お、団子、です」
俺を見て、途端にしどろもどろに話し出す舞に、俺は少し眉を寄せ、何故普通に話せないか問い掛けた。
「どうして俺と話すと、しどろもどろになってるの?」