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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第71章 誓い ― 顕如&姫 ―


料理もワインも堪能し、デザートとコーヒーを口にする頃、私はもう一つの小さな箱を取り出し舞に差し出した。

「これ、何ですか?顕如さん?」

首を傾げ、目をぱちくりする舞に、私は言った。

「開けて、気に入ったら、受け取って欲しい」

私の言にゆっくりと包装を解き、箱を開けた舞は、固まったように動かなくなった。

「けん、にょ、さん…これ…」

ようやく声が出た舞が見つめる箱の中には、一粒のダイヤが埋め込まれた指輪。

その中に小さなカードが入っており、そのカードには「Will you marry me?」の文字。

舞がどう思うかは舞次第だから、断られても仕方ないと思いながらも贈った。

「あり、がとう…ござい、ます…」

自分の思考を振り払い、はっとして舞を見ると、舞は瞳を潤ませ、泣き笑いのような表情でこちらを見ていた。

「嬉しい、です…答えは『Yes』です…」

舞は箱を私に差し出し、言う。

「…はめてください」

「ああ…」

かなり年上の私を、まさか舞が選んでくれるとは思わなかった為、私も信じられない思いで震えて、指輪を落としそうになりながら箱から外し、その震える片手で舞の手を取り、指輪をゆっくりと左の薬指にはめた。

「ありがとう…舞」

礼を言うのは私のほうだ。

舞が私の心を平らかに、清冽に、光の中へ飛んでいけるようにしてくれた。

私は誓おう。

舞を生涯、悪しき者から守り、幸せな時を過ごせるように努める事を。


<終>
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