<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第7章 だいすき ― 姫&家康 ―
「どこ、行くの?」
「来ればわかるよ」
いつもと同じそっけない態度。
でもそんな態度でも、転ばないように、手はしっかり握ってくれている。
連れてきてくれたのは、一面の花畑。
「わぁ、綺麗!可愛いお花!」
現代にいた頃は、野の花を綺麗と思う事はなかった。
でも、今は違う。
空気が違うから?
時代が違うから?
違う。
きっと貴方がいるから。
「こんなところで喜ぶなんて、単純」
横を向いて、ぼそりとつまらなそうに言う貴方。
でも手はつないだまま。
それに『こんなところ』に連れてきたのは貴方だよ。
嬉しくて私は微笑んで礼を述べる。