<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第69章 いつか、落とす ― 政宗&姫 ―
もう一度、一本目の打太刀(うちたち)から指導してもらう気になった。
「それにしても政宗様はやっぱりすごいですね。
半日で全部覚えてしまいました」
稽古の後、俺の作ったずんだ餅を二人にふるまいながら、葉月が感心して言った。
「おう、そうか?」
「はい、すごいです。半日で覚えられませんよ、普通」
「さすが戦国武将は違うよね?」
舞まで同意するとは、やっぱり俺はすごいのか、それとも未来の人間が軟弱なのか。
「自分のちからを使わなくても良い環境だもんねぇ」
舞が言うが、自分のちからを使わないってどういう世の中なんだ?
「自分の足を使わなくても遠くへ行けるし、洗濯も掃除も自分の手を使わなくてもラクに出来るようになっているんだよ」
舞が言うが、俺には全然検討がつかない。
ま、500年後とやらは、なんでも楽になっているって事のようだな。
「興味、有る?政宗」
舞が俺の顔を覗き込んでくるが、俺はにやりと笑みを浮かべて言った。
「見て見たいとは思うが、その世で生きたいとは思えないな。俺は今のこの時代で生きて、自分のちからで全てを切り開いていきたいし、自分の領地の民を守りたいからな」
「政宗らしいねぇ」
舞が感心したように言い、葉月も同意していた。