<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第69章 いつか、落とす ― 政宗&姫 ―
「違いますーもっと顔に近づけてくださーい」
うるさいこのおんなは、葉月という三成の婚儀相手だ。
一度信長様達と見た剣道形の教えを乞うたのが間違いだった。
「政宗、がんばって!」
舞が応援してくれるが、思った以上に細かい約束事がめんどくせぇ。
未来の剣道とやらは、どうしてこんなめんどくさい事なんざやるんだか。
こんなん戦場(いくさば)でやってたら、いったいいくつ命が有れば事足りるのか。
「あのー政宗様が覚えたいっておっしゃったんですよね?」
葉月まで図に乗って、俺をつんつん木刀でつついてきやがる。
「駄目ですよ?途中で投げたら。はい、もう一度やりましょう!」
「政宗、もう一度、がんばって!」
二人の美人に応援されたらやるしかねぇか、俺は木刀を握り直し構えた。
「構えたこの姿の政宗様は本当にかっこいいですよね、舞様?」
葉月が舞に同意を求め、舞も頷いた。
おう、そうか、俺はかっこいいか、そう思われたらやるしかねぇな。
「よし、葉月、もう一度やるぞ」
「はい、やりましょう!」