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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第67章 恋する心に気付く ― 姫&家康 ―


そんなの絶対嫌だよ。もっと家康さんの事を知りたいって思っているんだから。だから絶対目を開けて。いつもみたいに「あんたはへらへらしていなよ」って言って欲しいよ…

ああ、いつの間にかこんなに私の心の中は、家康さんでいっぱいになっていたんだ。

これは、恋。でも家康さんは、私の事はむしろ嫌っている。

それでも、私には家康さんへの恋心に気付いてしまったの。

目が覚めたら、家康さんに告白しよう。嫌がられても、良い。

自分の心に素直になって、家康さんへの気持ちを伝えよう。

嫌がられたら?それでも御殿にはいなくちゃいけない。

私が逃げたあの雨の日、家康さんは私を守るために刃を交わし、その時の人達に恨まれ掴まり拷問を受けてしまったから。

そう。私が動くと迷惑がかかるから、全てがわかるまで、逃げないと決めた。

戦国時代へとばされて、わけのわからないまま安土の城へ連れられ、家康さんの御殿にお世話になって、私の運命が大きく変わってゆく。

あの、徳川家康に恋をするなんて思ってもいなかった。

本心はとても優しくて、優しいから弱いものを全て守ろうとして傷付く。

強くあらねばという矜持の高さが、家康さんの一見壁を感じる性格となって表れているのを知ってしまったから。

家康さん、目を覚まして。その翡翠色の瞳をまた見せて。

私の看護の日々はまだ続く。

でも、いつか、必ず目覚めてくれるのを信じて。


<終>
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