<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第65章 嫉妬から恋が始まる ― 蘭丸&姫 ―
俺の友達のオコジョの名前はしっぽ。
俺にしか懐いてないはずだった、けれど…
「蘭丸くん、しっぽ、おはよう」
「舞さん、おはよう」
舞さんは安土城に住む、織田家ゆかりの姫君。
姫様なんてお高くとまって俺は嫌いなんだけれど、舞さんは別だよ。
全然お高くとまってないし、むしろ俺達と目線を合わせてくれて、姫様とは思えないくらい、庶民的な感覚を持った人なんだ。
その舞さんに呼ばれた、しっぽ、という名の俺の友達-
俺の衿元からしっぽがちょこんと顔を出し、舞さんの顔を確認する。
しっぽのエライところは、すぐ全身を現さず、頭だけだして相手を確認してから出てくるんだ。
舞さんには慣れてるから、頭だけから、すぐ全身現し、ぴょんと俺から舞さんに飛んで背中を撫でてもらうのが、しっぽの日課になってるんだ。
「わ…!しっぽ、相変わらずだね。よしよし」
肩に飛んだしっぽを怒ることなく、よしよしと背中を撫でてくれる舞さん。
しっぽは、丸い目を細めてうっとりとした表情で、背中を撫でてもらっている。
なんだか、その様子を見ていると、しっぽがうらやましくなってくるよ。