<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第63章 御礼の代わり ― 姫&光秀 ―
「光秀さん、見付けました」
私が声を掛けると、光秀さんが私の居る方向を振り向いてくれた。
「舞、何だ?」
光秀さんが抱えた本や巻き物を持ったまま、私に応えてくれる。
忙しいのはわかってる、でも、諜報活動とかで姿が見られないから、見付けた時に捕まえて、話しをしておかないとならないんだよね。
「忙しいところごめんなさい、でもお話しがあるんです」
「なんだ?ああ、もう『けんけんぱ』の相手はごめんだぞ。それとも舞が、仕置きをまた受けたいなら別だがな」
光秀さんはそう言って、にやりと片頬に笑みを浮かべた。
「いやいや、もうそれは頼みません。だって、あの後のお仕置きがひどかったんですもの…」
声が小さくなり、当然、語尾も消えそうに小さくなるのは当然。
いろいろ光秀さんにやってもらった事で、光秀さんから後からお仕置きと言って、口には言えないような恥ずかしい事までさせられたのは、二人の秘密なんだけど、どうしてそれを思い出させるような事を言うのかな。
つい思い出して顔が火照ってしまった。
「ほう、顔が赤いな、どうした?」
相変わらず意地悪する光秀さん、理由はわかってるでしょ!