<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第61章 堕とされたのは自分 ― 蘭丸&姫 ―
慌てる舞さんったら本当に可愛いなぁ。
「舞さん、俺の気持ちは本当なんだよ?舞さんの心に俺が入る余地がまだあるなら、俺を入れてくれないかなぁ?」
俺は舞さんの手をきゅっと握り、とっておきの微笑みで、舞さんに告白する。
「えーと、入る余地っていうか、もう、蘭丸くんが入っている、かな…」
俺の前でしどろもどろになる舞さん。
へぇ、俺の事をもう、気に掛けてくれているんだ、嬉しいな。
「じゃあ、俺の事、好き?」
「う…そう、直接的に聞かれると…でも、たぶん、そう、かも…」
赤くなって舞さんが言う。
俺は嬉しくて、舞さんの髪の毛を一房手に取り、軽くそれに口付けした。
「…蘭丸くん…」
息を呑む舞さんに、俺はじっと目を見つめて真剣に言う。
「…俺は本気だよ…参ったなぁ。貴女の前では可愛い年下の男の子でいるつもりだったけど…無理みたいだ」
ぐいと舞さんを抱き寄せると、小さなそのからだはたやすく俺に引き寄せられた。
「…らん、まる、くん…」
「黙って。俺の事、嫌いじゃないなら、目、つむって」
俺の真剣な熱のこもった声と表情で舞さんは、俺の想いを知ったようだ。
目をつむってくれた舞さんに、俺は本気の口付けを落としていく。
本当に参ったな。
年上の女性を堕とすだけのつもりが、舞さんがあんまり可愛くて、俺が反対に絡めとられたみたいだ…
<終>