<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第60章 人生を変える恋 ― 姫&家康 ―
そう、歴史に興味がなかったから、家康がどういう人か、そんな事すら良く知らなかったんだよ。
でも今、私は時を駆けて、戦国時代に居て、徳川家康と恋をする。
不思議だね。
私の運命は大きく大きく替わり、家康に抱かれ甘やかされ、そしてこどもを何人産むんだろう。
歴史の家康はたくさんの側室を持ち、だからこどももたくさんいたんだよ。
今、私の目の前にいる家康は、私だけで良い、側室は持たないと言ってくれている。
嬉しいけれど、そうすると、こどもも歴史上ほどたくさんは産めないよ。
それだけははっきり言い切ったら、家康は苦笑して、私を胸に抱き留めて、そんなの仕方ないでしょ、産めるだけ産んでくれれば良いよ、と言ってくれた。
家康には言ってないけれど、家康を最期まで幸せにするのが私の役割。
この時代で、家康と生きて行く時に、そう、決めたの。
いつか、駿府城へ連れて行って、ね。
最期の地となる、その城へ。
愛する家康が命を散らす場所へ。
私が家康の命を見つめ、見送る場所になる場所へ。
私が歴史を変えてしまい、家康の壮絶な人生も変えてしまったけれど、幸せの一言で終わりになれそうかな。
私の家康、きっと生まれ変わっても、私とめぐり逢って、そして、永遠に愛してね。
<終>