<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第56章 バレンタイン ― 姫&顕如 ―
顕如さんはコーヒーを淹れてくれ、二人でソファに座り、顕如さんは渡したチョコレートの包みを開ける。
小さい箱を開けると、品良く並んだ小さいチョコが5粒。
「早速いただこう」
顕如さんはそう言って、一粒口にされて、確かにあまり甘くない、と言われた。
顕如さんはそして、食べ終わると、横に座る私を抱き締め、私に口付けした。
チョコレートの味がする、最初から深い深い口付け。
もしかして、この口付けは…
「舞にもチョコレートの味を知ってもらおうと思ったが、わかったかな」
私は顕如さんにくすりと笑みを浮かべ、言いながら抱き着いた。
「顕如さん、チョコレートの味、わかりましたよ」
「そうか」
抱き着いた私を受け止め、私の髪の毛を片側にかき寄せ、首筋に唇を寄せる顕如さん。
「ほう…舞のほうがチョコレートより甘いな」
顕如さんがそう言った途端に、雰囲気が甘やかなものに代わり、私はまた口付けを受けながら、カーディガンのボタンを外されていくのに気付く。
明日も仕事なの、だから今、愛してね。
私の心を見透かしたように顕如さんは明日も仕事か、とつぶやき、それでもやはり、と手を止めず、私はバレンタインのチョコレート同様、この日、堪能された。
<終>