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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第54章 惹かれるひと ― 家康&光秀 ―


率直に言われ、俺は自分の気付かなかった感情に気付かされた。

『俺は舞に何やら感情があるのか…?』

俺が自分の感情を整理していると、光秀さんは片頬に笑みを浮かべ、俺に言う。

「家康、おまえは舞に特別な感情を抱いている。
だから俺が舞と一緒にいるのが気に入らないのだろう?」

同じ事を光秀さんも言ってきた。

「違う、俺は舞ではなく、光秀さんの事が…!」

いったい俺は何が言いたい?光秀さんは男だぞ?

俺の言葉を聞いて、光秀さんは目を見開いて、俺を見返した。

そうか、俺が惹かれたのは舞ではなく、確かに光秀さん、だ。

舞やこども達と遊ぶいつもと違う面を見て、そしてこどもを抱く姿が妙に似合っていて、何故かかっこいいと思い、惹かれている自分がいる事を、否定しない。

俺は天邪鬼を封印して、自分の心に正直に伝えてみた。

「光秀さんのこどもと遊ぶいつもと違う姿や、こどもを抱く姿が似合っていて、俺には眩しいと思えるんです」

「…ほう、そうか」

光秀さんはすっと俺に近寄ると、何か言おうとしているのか俺の顔に自分の顔を近づける。

俺が顔が近いな、と思った瞬間、唇に何か柔らかいものが当たり、それはすぐ離れた。

…いったい何が起きた?

光秀さんの顔は瞬時に俺から離れ、意図の掴めない笑みを浮かべたままの光秀さんは、一言俺に含めるように伝えてきた。

「家康、おまえも陽の光を歩む男だ。秀吉を十分に助けてやってくれ」

いったいどういう事なんだ?

光秀さん、あんた、いったい、何を考えている?


<終>
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