<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第54章 惹かれるひと ― 家康&光秀 ―
あの姿は光秀さん?一体何をしているんだ?
俺が気が付いて、光秀さんが舞やこども達と一緒に居て、何やらしているのを遠くから見ていた。
すると、あの光秀さんがぴょんぴょん飛んで前に進み、かと思うと片足だけで飛び跳ね、また両足でぴょんぴょん飛んでいて、はっきり言ってものすごく珍しいものを見てしまった、のだ。
何を考えているのかわからない薄ら笑いをいつも浮かべ、気が付くと軍議に居らず、しかしそれを信長様は咎める事もなく、当たり前のように受け入れている、織田軍の諜報担当者として、人と絡む事もほとんどなく、秀吉さんからもいつも一人で行動するな、と注意されて知らん振りするような人だ。
その光秀さんが…光秀さんが…こども達と一緒に…俺は光秀さんの似つかわしくない行動に最初は笑いながら、しかし目が離せず、そのうち小さい子を抱き上げるところまで、ずっと見つめていた。
こどもを抱き上げ、側に舞がいる姿、なんとなく夫婦(めおと)のようで似合っている。
俺は何となく、ただ、その姿を見ただけなのに、不愉快にならざるを得なかった。
「…それは俺に対しての嫉妬か?」
後で、光秀さんに会って、不思議な行動を見た事や何故か不愉快になった事など話したら、こんな言葉が戻ってきた。
「俺が嫉妬?誰に嫉妬するんです?」
俺は不思議に思って聞き直す。
「俺に決まっているだろう?舞と俺が一緒にいたのが気に食わないのではないか?」