<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第53章 ごっこ遊び ― 光秀&姫 ―
「あ、えーと、おんなたらしって事です。私の育ったところで使っている言葉なんですよ」
慌てて意味を告げる舞に、俺は眉を寄せる。
「おまえは源氏物語がおんなたらしの話しとでも言いたいのか?」
「そうです、それ。でも、そうでしょう?光の君は姫君と好き勝手してるじゃないですか」
まぁ、そうだが、それは否定はせぬ。
しかし、頭の足りぬ娘だ、もっと高尚に出来ぬものか。
俺は舞の顎を指で引き上げると、上から舞の顔を覗き込む。
「光源氏が姫君とどう好き勝手しているか、おまえは知っているか?」
「…え…」
途端、真っ赤になる舞。
そうだ、所詮『源氏物語』は光源氏の恋愛を描いたもの。
俺は舞の耳に口を寄せて囁いた。
「今から二人で源氏物語ごっこでもするか?勿論おまえは姫だ」
俺の顔を赤くなったまま見つめた舞の表情が、期待に満ちたものだと気付く。
ほう、俺とごっこ遊びをする気になったか。
俺は舞の手を引いて立ち上がらせると、そのまま手を引いて一室へ入る。
そして、俺は舞を畳に押し倒し、髪の毛を手に巻き付け、動かせぬようにする。
「…みつ、ひで、さん…」
ようやく舞が声を上げるが、俺は甘く囁く。
「光源氏が藤壺にこのようにする場面があるのだ。その真似をした」
勿論、その後は、源氏物語と違う、俺の好きなようにさせてもらおう。
舞をごっこ遊びとは言え、光源氏の名において、恍惚の姿を見せてもらおうか。
<終>