<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第5章 二人の愛 ― 信長&姫 ―
むしろ、何故今頃、そんな事を聞くのかと舞は驚いている。
「私は、信長様と生きていくって決めたんです。ワームホールが近づいても何とか逃げられて、こうして信長様の側にいられて、私は幸せです。
そして、信長様に幸せになっていただきたい、それが私の願いなんです」
舞の純粋な想い。
俺は立ち上がり、舞の側へ行き、背中へ両腕を回し抱き締める。
「俺は貴様がいつも笑っている世をつくる。貴様が側にいるなら必ずやりとげてみせる」
「…信長様」
舞はそっと自分の両腕を俺の背に回した。
「私は、幸せです。貴方と出逢えて、貴方に恋して…本当に幸せです」
俺は抱き締める片手をはずし、その手で舞の顎をすくいあげて口付けをする。
「貴様、もう俺から逃げられぬが、覚悟は出来ているのか?」
にやりと笑って言ってやると、舞は口をとがらせて反論する。
「あ、当たり前です!信長様こそ、むしろ私から逃げたら嫌ですよ!」
俺は貴様を生涯離さない。
そうか、何かあったら俺が貴様から逃げるのか―
そう言って、俺はからりと笑い、再度舞に口付けをした。
貴様の体温が俺には心地よい、だから俺の側から離れるな。
俺は愛らしい舞を、きつく更に抱き締め、腕の中に閉じ込めた。
<終>