<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第1章 ずっトモ ― 佐助&幸村 ―
初めて彼を見たのはいつだった?
俺の上司、上杉謙信様が、死んだと周りに告げつつ、実は生きて水面下で動いており、甲斐の虎と呼ばれる武田信玄様と同盟を結ぶため、信玄様が一勢を引き連れて春日山城へ来た時だった。
彼は信玄様の一の臣下として、信玄様のすぐ後ろに控えていた。
信玄様に何かあったらすぐ動ける刃物のような体躯と、優しく凛々しい顔立ちなのに、鋭い眼光をしているな、と俺はその時思った。
謙信様と信玄様の同盟に対する対話が終わり、そのまま信玄様一行は春日山城に留まる事となり、酒宴となった。
「佐助」
「なんですか?謙信様」
「梅干しが足りぬ。持って参れ」
「かしこまりました」
上司の大好物、梅干しが足りなくなったか。
すぐ目配せして、家臣の一人に梅干しを頼む。
「あー、佐助というのか?」
謙信様の隣に座る信玄様が、微笑みながら俺に声を掛ける。
おとなの色気がバシバシ漏れ出ていて、男の俺でもくらりときそうだ。
「なんでしょうか?信玄様」