<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第51章 恋の一頁 ― 佐助&姫 ―
そう、俺の心配はそこなんだ。
舞さんの心はまだ誰にも独占されていないけれど、いつ、どこで、誰が入り込むかわからない。
その時、舞さんはどうなるのだろう。
その瞳は特別な人だけをうつすようになり、たおやかな身体はその人のものになり、その柔らかな声は違う声をあげ、相手の人を狂わせるのだろうか。
そんな事を思うだけで、俺はやるせない思いに囚われる。
それだけ舞さんに焦がれてしまっているのだろうか。
「佐助くん、いらっしゃい!」
だから今日も危険を冒して舞さんに会いに行く。
もうすぐワームホールが開く。
舞さんはどうする?
俺は舞さんが帰るなら一緒に帰るし、帰らないなら見守るため、俺も残るよ。
「佐助くんはどうしたいの?」
俺は舞さん次第だ。
それを伝えたら、ちょっと悲しそうな表情をして、舞さんは俺に抱き着いてきた。
「…どういう、ことだろうか…」
俺の疑問に舞さんは、俺の胸に顔をくっつけて言ったんだ。
「佐助くんが好きなのっ。佐助くんが帰るなら帰るし、残るなら残るよ!」