<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第50章 心を溶かす ― 姫&謙信 ―
「おまえ、本気で言っているのか?」
謙信様は初めて正面から私を見据えて言う。
その眼差しはいつもの冷たい瞳ではなく、熱情をはらませた危うい光を伴っていた。
「本気、です。冗談でこんな事は言いません」
私も謙信様をしっかり見つめて答える。
「…どうなっても知らぬぞ」
そう言って謙信様は私の腕を掴み、横抱きにし、牢を開けうさぎを放ったまま、私を連れ出す。
「…謙信様…」
「俺の部屋へ行く。おまえが言った事、後悔するな」
謙信様と一夜の契りで私は精一杯貴方を愛する。
貴方の冷え切った心を溶かして、貴方の持つ傷を癒したい。
私の愛でどこまで出来るかわからないけれど、謙信様を愛する心は本物だから。
城の奥にある謙信様の部屋で、私のからだは暴かれてゆく。
謙信様、私の心は貴方に囚われているの。
貴方の指先が私のからだをなぞり蠢き、私はたまらない歓喜の声をあげてしまうけれど。
私の全てを謙信様に捧げ、謙信様への愛を全身で伝える。
そして、私をぶつけて、謙信様の心の傷を癒し、冷たく凍った心を溶かしてあげたい。
<終>