<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第48章 さんりんしゃ ― 光秀&姫 ―
「そんな事言わないで一度で良いから体験してくださいよぅ」
舞の駄々のこね方に、こども達も賛同して俺に言ってきた。
「光秀様、乗ってください」
「是非乗っているところを見せてください、光秀様!」
「みちゅひでちゃまー」
「どうでも良いです、私をおよめさまにしてくださいっ」
賛同の声は半分なようだが、仕方なく、俺はさんりんしゃにまたがった。
…小さくて動かしにくい。
俺は足置きを右・左と動かし、少しずつ前に進んでいるのを確認した。
「わぁ光秀さん、やっぱりすごいです!」
舞の笑顔は眩しいが、俺はどうして、さんりんしゃとやらに乗せられているのか。
それにこれが佐助の手作りとはすごいな、と感心するしかなかった。
俺のさんりんしゃにまたがるこの姿は、信長様や秀吉だけに足らず、家康や政宗、三成にも見られていたらしく、後で全員からからかいの対象にされた事は言うまでもない。
舞、おまえはどうしても俺から仕置きをされたいらしいな。
それもとびきり意地悪で甘いやつ、か?
おまえが俺を求めて足りなくなる程、俺をおまえに押し込んでやろう。
そして、二度と変なものに俺を巻き込まないでもらおうか。
さんりんしゃを動かしながら、どんな仕置きにするか、俺はじっくり吟味した。
<終>