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<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹

第46章 大好きを隠さない ― 姫&秀吉 ―


「おい?舞、どうした?」

後ろから抱き着かれた秀吉さんは驚き、でも穏やかな声音は変わらない。

私が前に回した手に、秀吉さんは自分の手を重ねてくれる。

「…秀吉さん、大好き、だよ。ずっとずっとずっと、大好き」

私が背中から自分の想いを伝えると、秀吉さんが息を呑むのを感じた。

「舞…その言葉は、その…嬉しいが…」

うん、嬉しい、が?何か歯切れの悪い秀吉さんの言葉だな。

「…信長様や家康のいないところで言ってくれると嬉しいんだけどな」

…え?

背中から離れて見ると、秀吉さんの少し前を歩いていたらしい信長様と家康が、いた。

信長様は面白いものを見た、と言わんばかりの表情でこちらを見て、家康は呆れ顔で私を見ていた。

「え…信長様、に、家康…いつから、そこに…」

焦る私に秀吉さんはおかしそうに教えてくれた。

「いや、おまえが抱き着いてくる前からここにいらしたぞ」

嫌だ、本当に恥ずかしい。

でも、私の気持ち、わかってもらったからかえって良かったのかな。

信長様は深い笑みを浮かべ、秀吉さんに何か耳打ちし、秀吉さんは驚き、赤くなって何やら弁明しているけれど、信長様は聞く耳持たず、家康と天守へ向かって歩いて行った。

秀吉さんが残り、呆然とする私に言った。

「二人でいられる事もなかなかないから、後は二人で過ごせ、と信長様がおっしゃったんだ」

そうだったんだ、信長様、ありがとう、そう心の中で御礼を言った。



魚たちの行き先を想像して、私達も魚になる。

魚たちはどこへ行くの?私達はどこへ導かれる?

白い海の中で私達は愛を囁いて、混じりあい、そして、どこまでも。

もう戻れないくらいに、愛という海の中へ沈んでいくの。


<終>
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