<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第46章 大好きを隠さない ― 姫&秀吉 ―
ねぇ、魚たちの群れはどこに行くのかな。
私のたいした意味の無い質問にも、貴方は頭を捻って考えてくれる。
「うーん、どこに行くんだろうな。きっと魚にも住まいがあるんじゃないか?」
「そうだね、そうかもしれないね」
本当はそんなもの無いの知ってるよ。
でも貴方の言葉は全てが愛しくて、貴方の言う事は全て信じられる。
これって秀吉さん、貴方を愛する故の惚気みたいなものなのかな。
秀吉さん、貴方の優しいところが大好きだよ。
でも、恋仲になる前、貴方の悲しい最期を見てしまったの。
あんな姿の秀吉さん、絶対目の前で見たくない、そう思った時、私は自分の心に気付いた。
秀吉さんは兄じゃない。
兄以上の存在で、私がここに居るのは、秀吉さんにあんな悲しい姿をさせない為。
そう思ったら、私は秀吉さんが愛しくて、この世で一番守りたい存在だと気付いた。
歴史と違っても良いでしょう?
だって私はその為に時を駆けてきたんだよ。
大好きな秀吉さんを幸せにして、ずっと一緒にいるために。
私は廊下を歩く秀吉さんを見付け、背中からぎゅうと抱き着いた。