<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第45章 離れたくない ― 姫&幸村 ―
一つを私にくれたので、御礼を言って、もらって二人で食べる。
中のあんが適度に甘くて美味しいので、ゆっくり堪能していたら、幸が片手を伸ばし、私の頬に触れてきた。
「…え?」
「…あん、付いてる」
頬にあんがついて、それを取り除く幸の無骨な指が私の頬を滑る。
そんな触れられかたされたら、私がどうにかなりそうだよ。
「…やらしー顔」
幸が私の顔を見て、一言にっと笑って言った。
「や、やらしー顔ってどういう顔?そんな顔、してないよ!」
一体どんな表情を私はしているの?
幸がぐいっと私の腰を引き寄せ、私は座ったままずるりと幸のほうへ近寄る。
そのまま、幸の顔が私の顔に近づいてきて、かすめるような口付け。
お饅頭食べてる途中なのに。
「…食べてる途中だったらいけないか?食べ終わったら良いか?」
「…えーと、食べ終わったらお願いします」
急いで私はお饅頭を食べ、それを見ていた幸はくすりと笑い、私の腰に手を回し、反対側の手で私の後頭部を支え、口付けを何度も何度もしあった。
「…このまま、もう離さねぇ」
うん、離さないで、幸。
私も離れたくないよ。
<終>