<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第42章 愛の前に ― 政宗&姫 ―
「野菜もよく煮えて、ほくほくして美味しい」
はふはふと芋を口にする舞。
そうか、うまいか、そういう顔で食べてくれると、作った甲斐があるってもんだ。
椀を空にすると、舞はふぅと息をつき、俺に笑いかける。
「すっごく美味しかった!ごちそうさま」
たまらない可愛くて幸せそうな笑顔に、もう一度抱きたくなる。
「ふっ…幸せそうに微笑んで可愛いな」
俺は横から舞の頬をつん、と人差し指でつついた。
「…もう、何?政宗。またそうやって私の事をからかう…!」
「からかってなんかないぞ。本当におまえの笑顔は可愛くて、もういちど頭から食べたいんだけどな」
「も、もう…!また、変な事言って、政宗ってば」
真っ赤になって横を向く舞の頬を俺の両手で挟み、無理やりこちらに向かせれば、潤んだ瞳とぶつかる。
可愛すぎて手放せないし、ずっと俺の腕の中に閉じ込めておきたくなる。
かすめるような口付けをして、舞の熱をまたあげていってやろう。
二人の恋情はどこまでも、飽きる事がなくて、新しい愛を作り上げていくんだ。
この愛の為に、野菜の汁物がちょうど良かっただろう?
<終>