<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第42章 愛の前に ― 政宗&姫 ―
西日のまぶしい刻になり、俺は気怠いからだを起こし、隣で眠る舞を見る。
昼間っからちょっと激しすぎたかもしれないな。
大きく息を吐くと、舞を起こさないように俺は起き上がり、着物を着付け直すと部屋をそっと出た。
台所で包丁をとんとんと小気味よく動かし、手際よく作ったものを盛り付ける。
いろいろな野菜を煮込んだ汁物。
あっさりして、でもそれなりに食べごたえのあるものが、情事の後、口にするに良いだろう?
いいにおいをさせて、部屋に戻ると、ほわんとした顔で舞がこちらを見た。
おいおい、そんな顔をして、また俺を煽るのか?
「…政宗?」
「ほら、汁物作ったから食べろ。野菜いっぱい煮込んでうまいぞ」
「…うん」
まだ呆けたような表情で舞は箸を手に持つ。
椀を両手で持ち、汁をすすると、途端に舞の表情が変わる。
「…おい、しい!政宗、すっごくおいしいね!」
お、うまそうなものを口にした時の舞の顔になったな。
この顔は、俺がとても好きな笑顔だ。