<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第41章 にんじん ― 姫&三成 ―
やった!おいしいという声が出た、作戦成功!
私の表情の変化に気が付いた光秀さんが問う。
「一体なんだ?今の三成の発言で舞の表情が変わったな」
すると理由はなんだと言わんばかりに全員で私をじっと見る。
私はえへんと胸を反らせて言う。
「実はこのお菓子、にんじんのすりおろしたものを混ぜてるんです」
にんじんの言葉を聞いて、全員が今度は三成くんを見た。
三成くんも驚いてクッキーを見つめる。
「食べたよな、三成…」
秀吉さんの言葉にこくりと頷く三成くん。
「ほら、三成くん、どうしてもにんじんが駄目でしょう?だからこれならどうかと思って…」
私の言葉に三成くん以外がにやにやし、三成くんは天使の笑みを浮かべて言う。
「舞様、わざわざ私のために、菓子を作ってくださったのですか?」
「いや、わざわざ、というか…その、にんじんが…むにゃむにゃ」
みんなのからかいの眼差しが恥ずかしくて、言葉を濁すけれど、三成くんはますますにこにこして喜んでくれる。
「ありがとうございます、舞様」
「ううん、どういたしまして、にんじん食べられて良かったよ」
これは本当に本心から。
にんじん料理、ひとつ食べられたね、次は何を作ろうかな、ね、三成くん。
<終>