<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第41章 にんじん ― 姫&三成 ―
さて、どう料理するかな。
獲れたてのにんじんを手に私は考える。
にんじんを食べ物と思わないあの人に食べてもらうには、どうしよう?
そうだ、あれを作ってみよう。
しばらくして、おいしそうな香りが、借りた台所に漂ってくる…
「失礼します。お茶を持ってきました」
広間へお茶を運んだ。
「そろそろ欲しかったんだ、ありがとうな、舞」
秀吉さんから礼を言われて、私はいいえ、と言いながらお茶の支度をし、皆さんに配る。
お盆にお茶とあのにんじん入りのお菓子を添えて、ね。
「信長様、どうぞ」
「…舞、これはなんだ?」
案の定、お菓子に気が付く信長様。
「南蛮菓子でクッキーと言います」
「ほう、南蛮の菓子か。顔らしきものがついてるが貴様が作ったのか?」
ニコマーク付きのクッキーを、信長様にはさすがに気が付かれたか。