<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第36章 星の温度を超える ― 秀吉&姫 ―
秀吉の穏やかな声が舞の耳に流れこむ。
「ひ、秀吉さん、これはちょっと…」
動揺して言葉に詰まる舞に、そうなるのがわかっていたように秀吉が言う。
「ちょっと、どうした?俺は舞とくっついていられるからこれで良いけどな」
「あ…う…うん…私も秀吉さんとくっついていられるから、この体勢、好き…」
秀吉は、思った以上の言葉を口にした舞に驚き、参ったという表情をした。
「あー参ったな。舞、可愛すぎるぞ」
抱き締めた片手で舞の顎をすくい、横を向かせ、秀吉がそっと舞に口付けする。
「秀吉、さん…」
星々の煌めく中、秀吉は舞の瞳が、星より輝いているのに気付く。
「舞の瞳は星より輝いてるな」
「え…そう、かな…」
驚く舞を、秀吉はますますきつく抱き締める。
「すっかりからだが冷えてるぞ。さぁ、星もいいが、俺におまえを堪能させてくれ」
ひょいと舞を横抱きにし、部屋へ戻る二人。
襖を閉めて二人の世界へ飛び込んでいく。
満天の星への秘密は、二人の愛し合う姿。
もつれる四肢は絡みあい、熱をはらんで、星の温度を超えていく―
<終>