<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第35章 正月かるた大会 ― 姫&安土城武将 ―
「はい!」
家康がぱしんと一枚の札に指を触れさせる。
「…あはれーことしのー」
読み終え、該当の札だった事で家康はその札を取った。
そうして、御手付きも交え、二人の戦いは家康がそのまま勝者となった。
「あー参った」
秀吉が上を向いて片手で目を覆う。
秀吉は御手付きをしてしまい、その分が負けに響いてしまったのだ。
「はい、じゃあ秀吉さんこっち向いて?」
「?」
言われるがままに舞を見ると、筆を持った舞がにっこりしている。
「はい、目、つむって」
目をつむると、目の周りに筆の冷たさと墨の匂いが漂う。
「え…おい…」
「はい、いいよ」
目を開けると、途端に信長達がくすくす笑う。
「はい、これ見てくださいな」
「あ…おい…なんだ、この顔は…!!」
舞が鏡を見せると、秀吉の目の周りが黒く塗られ、頬にぐるぐると円が描かれ、イケメンが台無しとなっていた。
「負けたかたへの罰です」
舞はにこにこして言うが、他の武将達は負けたらこうなるのだ、絶対勝つ、と意欲を新たに燃やした。