<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第34章 だんらん ― 女中頭三姉妹 ―
「そりゃあね。夜着自体が薄いでしょう?からだの線が出るから、あのおんならしい曲線に殿方はきっと目を奪われるなと思ったわ。そうしたら案の定、三成様は完全に目が吸い寄せられたわね」
「竹、あんた、こわいわぁ」
松が心底嫌そうに言った。
「私のところはそういう話しは何も無いわねぇ」
梅がふうとためいきをついて、何も話題がない、と言うと、松が助け舟を出す。
「何も無くて良いのですよ。梅さんのところはこれから何かがあるという事ですからね」
「そうよ、全てはこれから」
まもなく、秋へ差し掛かろうとする昼下がり。
三姉妹の会話は終わりがないまま、相談ごとへとつながっていく。
いつまでも尽きない仲良し三姉妹だが、ちゃんと仕事は頭に入っていた。
「さ、そろそろ刻限ね。戻りましょうか?」
「葉月さん、そろそろ帰りますね」
竹が声を掛けると、葉月が小さな包みを持って、急いで三人のところに来た。
「今日はありがとうございました。先程の餅菓子です。少しですけれど、これから売りに出すけれど、今日はお土産にお持ち帰りください」
「あら、ごちそうさま、また来ますね」
松の言葉で解散し、またね、と挨拶し、それぞれが日常に戻っていくのだった。
<終>