<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第3章 奪いたい ― 政宗 ―
おーおー、またお兄さま風、吹かせてるぜ。
秀吉が舞の乱れた髪の毛を直し、くどくど小言を述べる姿を見掛けた。
秀吉のやつ、『俺は兄だ』と常日頃言っているが、そうでないのは一目瞭然。
舞も秀吉を兄以上に思っている。
面白くないが、舞がそう思っているなら、今は仕方ない。
ま、最後には必ず、舞を俺のほうに向けさせて、青葉城へさらっていくけどな。
うららかな陽ざし。
風もほとんどなく、馬で遠乗りしたくなる。
秀吉が舞から離れた隙をついて、舞を誘って遠乗りに出掛ける。
初めて馬に乗せた時は、怖がって周りを見る余裕はなかったようだが、すっかり慣れて、俺の早駆けにも景色を見て喜んでいる。
俺を退屈させないおんなに会ったのは初めてだ。
だからこそ、舞を俺のものにし、さらいたい。
遠乗りで必ず見に行く、俺の気に入りの場所。
ただの崖っぷちなんだが、景色が遠くまで良く見えて最高だ。
このまま青葉城が見えないもんかと思うくらいだ。
舞もこの景色が気に入っているようで、俺はその点も気分が良い。