<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第28章 おかえりなさい ― 姫&謙信 ―
謙信様、貴方と離れたくない。
いつまでも離さないで欲しい。
謙信様を心から愛してるから。
諸刃のような危ういところは貴方の魅力。
「謙信様、一日も早いお帰りをお待ちしております」
戦好きの謙信様。
私を置いて近隣諸国の争いを鎮めに行かれる。
本当はとても心配。
必ず、私の許に帰ってきてくださるかしら?
ケガもなく、無事に戻ってきてくださるかしら?
「ああ、早く帰って舞を幸福へ導いてやろう」
「け…謙信様、そういう事は、二人の時に言ってください…っ」
どうして戦に赴く直前に、そんな甘い言葉を掛けてくださるの?
周囲に家臣の人が大勢いて、でも、皆さん、微笑ましく私達を見てくださるの。
「どうぞ、ご無事で。必ずお戻りください」
私が言えるのはこれだけ。
謙信様、貴方に愛されない日は落ち着かない。