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【イケメン戦国】戦国舞花録

第24章 『融氷』




「………っ、」


慌てて身を引き、僅かに距離を開ける。
動揺を悟られてはいないだろうかーーー
狂った調子を元に戻そうと、ひとつ咳払いをした。
見惚れている場合じゃない。いい加減そろそろ真面目な話をしなくては。


「ーーー時に、蓮。
お前、本当に戦場へ行く気なんだってな」

「そうだけど?」

「今更何を言っても意志は変わらないだろうが……
分かってないだろ、どれだけ危険か」

「私だって行きたくて行く訳じゃないから。小梅の付き添いってとこ」


先日軍議をざわつかせた、戦場への同行宣言。
やめさせるよう、あれからずっと信長様に嘆願していたが「好きにさせてやれ」と一蹴される始末だ。
小梅は相変わらず暴走気味で、俺の話は聞く耳持たず。断念せざるを得なかった。
ーーー最初は蓮も同行に反対していたはず。
しかしその冷静な判断を曲げたのはーーー


「付き添い、か……
それは、小梅が心配だからだろう?」

「………。
だったら何」

「お前には人を思いやる心がちゃんとあるじゃないか。
………なのに何故、あんな事を繰り返すんだ」

「あんな事?……ああ、あの女との一件ね。
遊びなんだからいーでしょ別に」

「良くない。遊びで人を不幸にするなんて最低だ。良心が痛まないのか?」

「っさいなぁ!
あんた何様のつもり?親父でもない癖に偉そうなこと抜かさないでよ」


上機嫌だった蓮は一気に顔を険しくさせ、語気を荒げながら莨盆に煙管を叩きつけた。
灰となった刻み葉が辺りに飛び散り……
二人を包む空気がピン、と張り詰める。


「俺は何様でもねぇ。
だがな、黙ってお前の悪行を見過ごす訳にはいかねぇんだ。
そんな事ばかりしてたら親父が泣くぞ」


すると、言い放った刹那ーーー
胸倉を掴み上げられると同時に、視界が反転した。



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