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【イケメン戦国】戦国舞花録

第22章 『衝動』





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それから、城へ戻り………

針子部屋へ行く姉と別れた私は
また女中等と共に雑用をこなしていき、
日が傾きかけた頃。

夕餉の支度にひと区切りをつけ、庭先で悠々と一服していると。
開いたままの障子から聞こえてくる、複数の足音と声。


「信長様、一体どういうことですか?俺の承諾も無しに」

「承諾など得る必要がどこにある?これは打診ではない。命令だ」

「こんな訳の分からない命令、聞けるはずがないでしょ」


すたすたと縁側の通路を歩く織田ーーー
その後を追うのは、やけに焦って青ざめた面持ちの徳川だ。
………なにやら揉め事だろうか。

戦国武将も大変だねぇ、と我関せずに茜色の空へ煙を吐く。
すると…………


「信長様の言うことは聞かなきゃ駄目だよぉ、家康〜。ね、光秀さんっ」

「そうだな。御館様直々の命令なのだから」


徳川の後方から現れたのは、
小梅を腕に抱えてくつくつと笑う明智だ。
二人の体格差はとてつもなく、まるで子どものお守りをしているように見えて思わず吹き出してしまった。

そうしていると、
私の存在に気が付いた小梅が
お〜い、とこちらへ手招きをしてきて。
面倒臭いので無視をしていたのだが、しつこい呼び声に痺れを切らし…………仕方無く奴等のそばまで歩み寄る。



「ふふふっ、蓮ちゃん聞いて聞いて〜」

「なんの騒ぎ?頼むから巻き込まないでよ」

「あのね、私………
今夜から家康の御殿で暮らすことになったの〜!し・か・も・花嫁候補としてだよ〜!
どぉ?驚いたー?」


・・・・・


は………!?


開いた口の隙間からポロリと煙草が落ちる。
何か画策しているのだろうとは思っていたが………。
あまりの急展開ぶりに、私は唖然と佇んでいた。



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