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【イケメン戦国】戦国舞花録

第22章 『衝動』





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そして…………

食後。
女中達に全体的な仕事の流れを説明してもらい、まずは城内の掃除に取り掛かることになった。

ダラダラと邪魔臭い髪の毛を後頭部でひとまとめにすると。
布切れを手に持ち、廊下の端から作業を進めていく。

木造の為、下手に濡れ雑巾で拭くと湿気が生じてカビの原因になってしまう。
よほどの汚れじゃない限り、乾拭きするのが一番。

ーーー掃除は好きだ。
淀んだ心が洗われるようで……
ストレス解消法のひとつでもある。

自然と気分が乗ってきた私は鼻唄交じりに柱や床板などを丹念に清めていた。
するとそのうち………


「まぁ、蓮様はとっても手際がよろしいのですね!このぶんだと予定より早く終われそうです。嬉し〜い!」
「ほんとほんと!助かるわぁー」


共に清掃作業をしていた女中達が、笑顔で気さくに話し掛けてくる。
昨日今日会ったばかりで打ち解けられるほど器用でもない私は「そーですか」としか返さなかった。

昔から愛想が無いとよく言われる。
威圧的だ、ってね。
おまけに背はデカいし目つきも悪い。

思い切り好かれるか、思い切り嫌われるかーーー
いつもどちらかにハッキリと分かれるのだ。
女からの評価が。

そんなもんどっちだって構いやしないけど。


しかし、
今回はどうやら前者だったようでーーー


「それに……
スラッと長い脚が素敵だわ。お顔立ちも凛々しいし」
「そうそうー!どことなく信長様に似てらっしゃるのよねぇ〜、もっと近くで見せてくれません!?」

「………は!?ちょ、ちょっと………」


容姿についてわいわいと盛り上がる女達に暑苦しく囲まれ、圧倒されて。

織田に似てる、とかいう嬉しくない褒め言葉に頬を引き攣らせながらも……
鬱陶しい羨望の眼差しに耐え切れなくなった私は、書庫を掃除してくると言い残して逃げるようにその場を後にした。



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