第4章 『旋風』
「わぁ………………」
開けると、山々や海、民家などが一望できる風景が広がっていた。
「すごい絶景!いつもこんな景色が見られて良いなぁ~」
あー、写真撮りたい。手ぶらなのを後悔する。
この山と海のコントラストがまた………
(海……………………)
桜子は目を伏せると口を開いた
「………謙信様は、恋人とかいないんですか?」
「なんだその質問は」
「いやぁー、こないだの信玄様が色んな意味で凄かったから、謙信様はそっちの方どーなのかなーって。」
「………そんなものはおらん」
「じゃあ、過去には?」
「…………………………」
いたんだ。
答えないってことはそういうことだよね。
そりゃそうか、こんなに美形なんだし。
「……………昔の、事だ」
そう漏らした顔がなんだか少し淋しそうで、余計な事を聞いてしまったのかなと私は再び海の方へ視線をやった。
海は嫌いだ。
記憶を呼び起こす、あの海が