第12章 ネクスト・ドア ※R-18
「暫く女は懲りっ懲りだっっっ!!!」
ダン!と膳に徳利を叩き置き
猪口をグイっと傾けヤケ酒を煽る幸村に、佐助はやれやれ、といった様子で晩酌に付き合っていた。
「大体よー、女っつー生き物はつまんねぇし面倒臭ぇんだよ!疲れるだけだっ」
「うんうん、そうだね」
「女よりもお前と居た方が楽だ!女よりも佐助だ!!」
「うん……でも俺、そっちの趣味無いから」
「気持ち悪い解釈してんじゃねー」
騒がしい愚痴は夜中まで続き……………
そんなこんなで、
女なんて当分要らねー と、強く思った。
その後、俺は商人に成り済まし安土へ偵察に行き
織田軍や顕如との戦など命懸けの日々を送りーーー
それらが終わった頃には
八重はどこかへ嫁いでいったらしく越後から消えていた
そうしてーーー
戦の後から姿が見えなくなっていた佐助が三月振りに春日山城へ帰ってきたんだけども…………
「べっぴんだ!」
浮き足立つ信玄様が、
佐助が拾ってきたという現代人の事をそう称した。
べっぴん……?
ちっ、女か………。面倒臭い事が起きなきゃいいが………
廊下を歩いていると、ある部屋から佐助と女の話し声が漏れてきていた。
…………五月蝿ぇ。
なんだ?この生意気な口調は?
ほんとに女かよ。
女だとしても、べっぴんどころかとんだ醜女なんじゃねーのか
ーーーーこの時の俺はまだ知らない。
まさか、初めて自分から恋に落ちるなんて。
そして、一生を添い遂げる相手になるなんてーーーー
襖の引手に指を掛け、
開けたらそこには……………
信玄様が言う通りの…………
いや、それ以上の女が、大きな瞳で俺を捉えていた
それが、
未来へ繋がる
全ての、始まり。
完