第12章 ネクスト・ドア ※R-18
ーーーその日を境に八重とは
会う毎に身体を重ねる関係になっていき、
性欲の方は充分に満たされてた。
けど…………
「私、真田様のお部屋に行ってみたいわ」
今日は個別ではく、いつものように平蔵と一緒に城に来ていた八重は、縁側に座る俺の横で羊羹をつまみ、そう求めてきた。
最初は、自分の意見を言わない女だと思っていたが
男女の営みに繋がるような事柄に関しては積極的に口に出すようになっていた。
「や、俺の部屋に来たって何も無ぇから」
「何も無くていいんです」
「……………」
「…………嫌、ですか?」
「……………」
なんとなく、自分の部屋に入れるのを躊躇してしまった。
陣地を侵されたくない、とでもいうか………
とにかく嫌だった。
俺はまだ彼女に心を許してないのだろうか。
気まずい空気が流れる…………
「真田さ……」
「それより外に出よーぜ、外に」
食いかけの羊羹を口の中に放ると、
不服そうな面持ちの八重を無理矢理城の外へと誘い出した。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「ほら、良い景色だろ」
空は快晴。
鳶が優雅に旋回している。
ーーー町から外れた広い花畑に連れて来てみた。
女は花が好きだという概念があるので、こうして見せとけば彼女の機嫌を直せるのでは…………と。
我ながら安直だ。
「わぁ……綺麗ねぇ」
そのうち顔付きが明るくなった八重はしゃがんで花を摘んでいた。鼻唄まで聞こえてくる。
………よし!作戦成功だ。
さっきの気まずい空気も解消され、腕を上げて伸びをしていると
遠くから毛の塊が走ってくるのを視界が捉えた
「村正!」
近くで踏み切ると高く跳ね、俺に飛び付いてきた。
最近会えてなかったせいか嬉しげだ。
触れようとした時ーーー
悲鳴がした。