第12章 ネクスト・ドア ※R-18
ーーー女は、つまらないし、面倒臭い。
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春日山城の一室では、謙信と
一人の年配の男が向かい合っていた。
「待ちくたびれたぞ、平蔵」
「いつも贔屓にして下さって有り難うございます、上杉様」
畳に指をついてお辞儀をした男は、傍らにある風呂敷に包まれた樽をスス、と差し出した。
「実は今、新たな酒を試作中でして、完成した暁には是非召し上がって頂きたく存じます」
「そうか。期待している」
謙信からの返事を受け再度お辞儀をするこの平蔵という男は老舗の造り酒屋を営んでおり、特別出来が良いものを定期的に城へ渡しに来ているのだ。
「……今日も娘は奴のところか」
「はい。相当惚れ込んでるようで……。御迷惑をかけてないと良いのですが……」
平蔵は苦笑しつつ、
謙信と酒談義を始めた