第4章 取引
ここまであの子を運んできたのは僕だけど、めちゃくちゃ軽かった。
かなり身軽で身体が柔らかい。そして体重の軽さ。どれも女の子の特長だ。
けれど、服の上から見える身体のライン。おそ松兄さん相手に一歩も引かない度胸。僕達相手に遅れを取らない戦闘力の高さ。
これらから女の子な訳がない、と勝手に判断していた。
あれ、十四松兄さんもそんなに驚いていない……?
もしかして。
十四松兄さんの嗅覚は犬並み。なら、あの子の匂いを嗅いだ時、もしくは近づいた時に匂ったのかも。
女の子特有の、いい匂いを。
「こ、これを見てもそう言えるか?」
頬を染めるカラ松兄さんの指先を見ると。
そこにはカラ松兄さんに服を捲り上げられた"道化師"の姿が。
綺麗な曲線を描く腹部から上に視線を移すと、うっすらと見える白い包帯のようなものが巻かれてある。
初めて見たけど、あれがサラシってやつかな?
「これは……女だ」
口を合わせて皆鼻を押さえながら呟く。