第4章 取引
☆☆☆
それはカラ松兄さんの一言から始まった。
"嘲笑う道化師"を捕縛した僕達は、拠点である持ちビルまで引き返した。
そして"道化師"を医務室のベッドへ寝かせ逃げられないように縄で手首とベッドの支柱を結ぶ。
ちなみに医務室へ運んだ理由は、医療モニターに繋ぎ麻酔の効きを見るため。
麻酔は少しでも量を間違えると危険だからね。通常は麻酔をかける人の体重から量を計算するけれど、"道化師"が何キロあるかわかるわけがない。
だから体格から分量を割り出したためモニターに繋ぐことになった。
その際、危険だからと"道化師"が隠し持つ全ての武器類を取り上げるため、カラ松兄さんが脱がせてたんだけど……
「女……?」
その呟きで、場の空気が一気に凍り付いた。
「はぁ? 何言ってんのカラ松ぅ。こいつが女?」
「何を根拠にそう思ったの?」
「なに? おれ達たかが一人の女に苦い思いさせられてたの?」
兄さん達が各々叫ぶなか、僕は黙っていた。
ちょっと、というか……かなり思い当たることがあったから。