第3章 憎悪
「ばぁ」
「っ!!」
突如、進行方向にひょこりと頭を出したそれに驚き反射的にブレーキをかける。
やられた!!
ほんの一瞬目を離した隙に。
小さな破裂音とともに、左腕に小さな痛みが走った。
「大当り~」
無気力でそう言う紫に舌打ちをし、左腕に手を当てる。何か異質な物が引っ付いている。
「! これは」
腕から抜き取ると、小さな矢のようなものだった。
銃で、弾ではなく矢のようなもの。
即ち……
そこまで考えると、徐々に力が抜けていき立っていられなくなった。
あ、マズイ。落ちる。
ここまで、かな。
目を閉じ、来るだろう衝撃に備える。
…………
……
……? どこも、痛くない?
恐る恐る目を開けるとそこには、何故か目を白黒させているあの顔が。
ピンク色のシャツ…………トド松さん、だっけ。
何をそんなに驚いてるんだろう? 気になるけど、身体がダルい、メンドクサイ。
もういいや、寝ちゃえ。
捕まるのは癪だけど、猛烈な眠気には逆らえない。