第2章 二度目の人生
だけど、それが男の子は気にする年頃なのか?と思った。
それでその時は何も言わなかったけど、やっぱり気になっていた。
恥ずかしいなんて私は思わない。
むしろ、この優しい祖父母が喜んでくれるならそれでいいと思う。
綺麗に着飾った祖父母と一緒に車に乗り向かった中学校の入学式。
祖父母がいる事に驚く母親に笑って自分が呼んだと言えば母親は苦笑した。
それから母親と祖父母と別れて自分の名前が張り出されているだろう掲示板でクラスを確認する。
するとそこで信じられないものを見た。
同じクラスにあったその名前に思わず悲鳴を上げそうになって慌てて手で口を塞ぐ。
心臓がバクバクと高鳴る。
ただの偶然。
同姓同名な人間。
そう思うのにそこにあった名前に動悸が激しくなる。
大野智
その名前があるクラスに自分の名前があった。
思わず後ずさると後ろの人にぶつかる。
「痛ッ」
「ごっごめッ!!!」
慌てて謝ろうと振り返ればそこにいた人物の顔を見て今度こそ絶句した。
嘘だと思った。
この世界に存在しないものだと思った。
だけど、そこにいた。
自分の知っている姿よりもかなり幼いけど、間違いないと思った。
「なに?」
自分を凝視する私に訝しげに問いかける。
慌ててなんでもないと言って離れた。
学校案内パンフを受け取り校内に入って自分の教室へと向かいながらパニック状態の頭を何とか落ち着けようと必死だった。
クラスに入れば既に来ていた生徒達がグループを作り話している。
そんな中に入り黒板に書かれた出席番号の席に座って大きく深呼吸する。
嘘みたいな現実。
だけど、嬉しい現実だった。
震える手を握り締めて考えるのは彼と仲良くにる事。
必死に彼について思い出す。
以前なら粗暗記しているように言えた彼の事。
仲良くなりたい、友達になりたい。
純粋に思った。
だけど、ある事に気が付いて思わず血の気が引く。
嬉しい、心から嬉しいと思う。
それは嘘じゃない。
だけど、自分は今、男の体。
正真正銘、男子。
そして彼も男子。
友達にはなれるかもしれない。
でも、それ以上にはなれない。
それに気が付いたと同時にクラス内がザワつく。
彼が入ってきた事で喜んでいる女子がいる。