第7章 Happenin
不意に声をかけられて慌てて反応する。
「家から持って来いって言うなら何処にあるかわかんないから無理だよ?かあちゃんもうたぶん仕事で家いないから聞けないし」
「ちゃんと二人分あるわ。っと言っても私が作ったものだから売ってるものよりは不格好だけど」
「マジで?なら着る!ありがとうばーちゃん!」
そう言うと嬉しそうな顔をするばーちゃん。
その顔を見てれば何となくお願いを聞いてあげたくなる、だけど、優仁の反応はそれと少し違う気がした。
時間までまったりとゲームをして過ごし風呂に入ってばーちゃんに浴衣の着付けをしてもらう。
綺麗な紺のシンプルだけど格好良いその浴衣に袖を通せば着心地も肌触りもよくて一発で気に入った。
そして俺の後に暫くして着付けを終えて出てきた優仁は綺麗な白のシンプルで爽やかな浴衣。
優仁に似合ってると思った。
「うわぁ、智君カッコイイ・・・」
「なっなんだよッ。優仁だってめちゃ似合ってるよ」
「そんなことないって」
「あるって」
頬を染めて照れてる優仁をからかうのは楽しい。
そうやって暫くじゃれていると時間になって慌てて玄関へと向かう。
「あ、二人共!はい、お小遣い」
「ええ!?ばーちゃん俺にもくれんの?まじで?」
「もちろんよ、お祭でやりたいこと食べたい物を我慢するのは私嫌なの!だから、思いっきり楽しんでらっしゃい!」
「けどっ」
「智君!遠慮は無用よ!どうしても気になるならそれで私に何かお土産買ってきて頂戴な」
「うん!!ばーちゃんサンキュー!」
「ありがとう、お祖母ちゃん」
本当に優しくて大好きだ優仁のばーちゃん!!
俺達は受け取ったお小遣いを財布に入れて待ち合わせ場所まで急いだ。
結構な人の多さ。
その中にのまれないように優仁の手を取る。
「優仁!逸れるなよ!」
「う、うん」
押されながら何とか待ち合わせ場所にたどり着く。
外は蒸し暑い。
人が多いと余計にそれを感じる。
「さッ智君」
「ん?なに?」
「あっあの・・・手」
「ああ、ごめん」
繋いだままの手を慌てて離す。
離れた手、思わずジッと見て頭の中を過った言葉に首を振る。
『まだ繋いでいたい』なんて。