第5章 夏の思い出
ヒロイン視点
あの日、自分でもやらかしたと後悔したあの夜。
今でも思い出すだけで落ち込む。
『俺は優仁の事、親友だと思ってる』
友達として思ってくれれば良いと思っていた、なのに大野君は一番仲が良い大切な友達と言ってくれた。
その時に思ったのだ。
例え自分の思いが成就しなくてもいいじゃないかと。
どんな形でも彼の中の一番になれたのだから、もうそれで十分だろうと。
一緒にいられる、話が出来る、触れられる、友人になれるそれだけでもココ数ヶ月で自分に起きた事は奇跡ばかりだ。
親友になれたそれは自分の中でかなりの出来事だった。
だからだろうか、嘘みたいに心が楽になれた。
例え、離れ離れになって確かに辛いかもしれないけど、それでもきっと大丈夫だと思えたから。
『離れるなんて選択肢を選ばないように二人でいっぱい話そうぜ』
あの言葉だけでもう満足だった。
「ちょっ優仁それマヨネーズってああああああああああッ」
「え?あっあああああああああっ!!!!!」
現在昼間からお祖父ちゃんが友達から頂いたと言う魚介類を使った贅沢鍋中。
考え事をしながらサラダにかけていたマヨネーズを何故か鍋にかけていた。
物凄い反射速度で大野君がおたまでマヨネーズを掬い出す。
「何やってんだよ!?じーちゃんセーフ?セーフだよね!?」
「んんんっ、味ナシ!!セーフじゃ!!」
「ハァーーーー、優仁!!伊勢海老入ってんだぞっ!!」
「ごっごめん!」
「たくっもぉ!!」
用意された時から楽しみにしていただけあって大野君は本気だった。
思わず大きな声で謝ればプリプリしながらも私の分を装ってくれた。
そんな私達を見てお祖父ちゃんもお祖母ちゃんも笑っていた。
この時間が本当に幸せだ。
大切にしたい。
「うめぇぇぇ!!じーちゃんコレすげぇな」
「じゃろ!?いっぱい食べろ智」
「うん!」
「優仁ちゃんも食べなさいよ」
「ありがとうお祖母ちゃん」
美味しそうに食べる大野君を見ながら私も笑ってそれ食べた。
大好き、何度もでも心の中で告げる。
たとえそれを口に出来なくても。
心の中できっと何度もそう言うだろう。