第5章 夏の思い出
長友や大橋、何時もツルんでいるメンバー達にそう言われてもこちらとしても特にソレを良いと思っていないのだから仕方がない。
「二人共すげー人気だぜ?」
「そうなの?」
「そうそう!!二年の綺麗だって有名な久保先輩とか大野狙いだって言うし」
「はぁ?マジで?」
「三年で一番可愛い庄次先輩は優仁が好きだって結構有名な話だぞ?」
「あ、それは聞いた事あるわ」
「ええ!?そうなの?僕なんか何で・・・」
俺も大概校内の情報に疎い方だけど、優仁はそれよりも酷い気がする。
三年の庄次先輩は読者モデルをしているらしいと噂がある位可愛い人だ。
告白して散って逝った男子は数知れず。
そんな庄次先輩は校内で優仁と一緒にいる時に何度か遭遇した事があるけど、その時に必ず優仁を見て声かけてくる。
「藤原君、こんにちわ」
そんな校内でも噂の女子に声かけられていると言うのに優仁は他の女子に対する態度と変わらずペコッと頭を下げて何時も通りの挨拶をする。
一度聞いた事がある。
「優仁はさ、どんな子がタイプなん?」
「え?」
「女子の好み」
そう聞くと優仁は少し黙った後に特にないと言った。
今はまったく女子に対して興味がないのだと言う。
友達と遊んでいるのが楽しいからそれでいいと。
それに関しては同感だったから特に変だとは思わなかったけど。
「木村、絶対に藤原狙いだな」
「長友もそう思った?やっぱな、俺もそう思った」
真っ先に優仁をプールに誘った女子、木村香織は同じ小学校出身だけど、結構可愛い方だと思う。
人気もあった。
「藤原どうすんの?」
「え?」
「え?じゃねーって、告白されたらどうすんだよ!」
「・・・・・・断るよ」
「マジで!?もったいねーーーーーっ何でよ?」
「何でって・・・・恋とか・・・わかんないから」
あ、久しぶりに見たあの顔。
あの日、優仁が泣いたあの夜以来、優仁はあの顔をしなくなった。
笑ってる顔も心から笑ってるって感じになって、こんな事ならさっさと自分の気持ちを伝えれば良かったと本気で後悔した。